あなたの腰痛はどのタイプ?対策から予防までお伝えします!

「長時間座って作業をしていると腰が痛い」

「前屈みや中腰で重いものを持つことが多く、腰が痛い」

 

日本人の多くの方が日頃、悩まされている「腰痛」

最近では、在宅勤務やデスクワーカーが増加し、腰痛に悩まされる方が年々増えています。

特に腰痛の一般的な症状として多いのが、腰を反る際やベッドから起き上がる際、下のものを拾う際の痛みが挙げられます。

そして、腰痛にはさまざまな症状があり、その原因によって対処方法も異なります。

今回の記事では、どのタイプの腰痛なのか、その腰痛の主な原因を解説し、症状別の対処方法をお伝えします。

 

そもそも腰とは

脊椎(背骨)は頭蓋骨と骨盤の間に位置し、上から「頸椎」「胸椎」「腰椎」の3つで構成され、腰は脊椎の「腰椎」と言われる部分を表します。

脊椎は椎体と呼ばれる骨が積み木状に重なることで安定性を保っています。さらに脊椎の周りには多くの筋肉が走行しており、これらの筋肉が協調して働くことで、腰を反らす、曲げる、捻るような動作をスムーズに行うことができています。

また、椎体と椎体の間には水分を多く含んだゼリー状の髄核(ずいかく)と、それを取り囲む線維輪(せんいりん)と呼ばれる軟骨組織でできた椎間板(ついかんばん)が存在し、椎間板は「立つ」「座る」など、生活のなかでの様々な姿勢に応じて椎体に加わる力を分散させ、衝撃を和らげるクッションの役割があります。

椎間板写真

脊椎写真

また、人の身体を横から見た時に背骨はS字状のカーブを成しており、これを生理的弯曲(せいりてきわんきょく)と言います。このS字カーブがあることで、歩く時や、ジャンプの着地動作などの衝撃吸収に役立っているのです。

これら背骨の周りに位置する筋肉の働きやS字カーブが破綻することで、腰を反らすと痛いなどのさまざまな症状が出現してしまいます。

 

腰を反らすと痛い主な原因

腰を反ると痛い場合に考えられる原因は、大きく4つに分類されます。ご自身に当てはまる原因を押さえて、適切な対処法を実践しましょう!

椎間関節への負荷

脊柱の後方に位置する椎間関節にストレスが加わり、炎症が起こることで痛みが出現します。特に反り腰姿勢の女性に多いといわれています。

椎間関節写真

次の項目が当てはまる方は、椎間関節への負荷が原因である可能性が高いです。

・腰を左右どちらか一方に反らすと痛い(ゴルフのスイング・野球のバッティング)
・歩くと腰に痛みが出る
・痛みが限局的(指で示せる)

筋・筋膜への負荷

脊椎の動きは、脊椎の後方に位置する脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)が収縮することによって安定しています。この脊柱起立筋に慢性的な負荷が加わることで、炎症が生じ痛みます。

筋・筋膜への負荷は、長時間のデスクワークや前屈み姿勢による重労働を行っている方に多いため注意が必要です。

次の項目に当てはまる方は、筋・筋膜への負荷が影響している可能性があります。

・夕方や仕事後に痛みが出現する
・長時間労働、長時間同じ姿勢を取ることがある
・痛みが広範囲

脊柱管の狭まり(腰部脊柱管狭窄症:Lumber spinal canalstenosis)

脊柱管は椎体の後方に位置し、脊髄神経が通るトンネル状の管のことをいいます。この脊柱管が様々な要因で狭まる(狭窄)ことで、神経組織が圧迫され、症状が現れます。

脊柱管狭窄症は様々な原因疾患が合併しているため、症状が出現している可能性が高いため、専門の医療機関への受診を推奨します。

狭窄症写真

次の項目が当てはまる方は、腰部脊柱管狭窄症の可能性が高いです。

・長時間歩くと、下肢(足)のシビレや痛みが出る
・休み休みでしか歩くことができない
・前屈みになると痛みが楽になる

仙腸関節への負荷

脊椎の下方には、仙骨・腸骨から構成される「仙腸関節」が存在します。この仙腸関節は数ミリ程度しか動かないものの、不用意な動作や繰り返しの負荷により関節に不適合が生じ、痛みが出現します。

一般的に、仙腸関節由来の腰痛は、出産後の女性に多いといわれています。

仙腸関節写真

次の項目に当てはまる方は、仙腸関節への負荷が原因となっている可能性が高いです。

腰を曲げると痛い主な原因

腰を曲げると痛い場合の原因は3つ考えられます。

椎間板への負荷(腰椎椎間板ヘルニア:Lumber Disc Herniation)

加齢や使い過ぎなどによって、椎間板が変性し、断裂することで椎間板が飛び出すことがあります。飛び出した椎間板が神経を圧迫することで、足のシビレなどの神経症状を引き起こすのが「椎間板ヘルニア」です。

特に、座っているときは、立っているときに比べて1.4倍の負荷が椎間板にかかります。そのため、長時間のデスクワークや前屈みでの作業は椎間板への負荷が大きいです。

ヘルニア写真

次の項目が当てはまる方は、椎間板への負荷が原因の可能性が高いです。

・お尻や足にシビレがある
・背中を丸めたり、前屈みになると痛みやシビレが強くなる
・背中を伸ばしているときや、寝ているときは楽になる

筋・筋膜への負荷(筋・筋膜性腰痛)

デスクワークなど背中が丸まった姿勢で過ごすことにより、姿勢を真っ直ぐにしようとこの脊柱起立筋が過度に働きます。それにより筋肉が過負荷状態となり、筋・筋膜の損傷が起こるのです。

また、長時間続く同じ姿勢や、繰り返しの動作により血流が滞り、損傷した筋肉の修復が短期間で行えなくなり慢性的な痛みが引き起こされます。「長時間座って作業することが腰痛の危険因子である」と述べられている論文もあります。

次の項目が当てはまる方は、筋・筋膜への負荷が原因である可能性が高いです。

・長時間、同じ姿勢を取ることがある
・重いものを持ち運ぶことが多い
・シビレや感覚の異常など神経症状はない

仙腸関節への負荷(仙腸関節性腰痛)

先ほど述べた仙腸関節性腰痛は腰を曲げた際にも起きることがあります。

長時間のデスクワークや出産など、仙腸関節の一部に負担がかかり続けることで痛みが出現するケースもあります。

次の項目が当てはまる方は、仙腸関節への負荷が原因かもしれません。

・痛い方を下にして寝れない
・歩くときに痛みはあるが、徐々に楽になる
・正座は痛みなく座れる